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2006年6月12日 (月)

代理ミュンヒハウゼン症候群_定義

2006年6月12日 晴れ
朝方から地震でした。当地域は震度5弱という激しい揺れで、5時より飛び起きたような状態でした...。

では、MSBP: Munchausen syndrome by proxyについて2回目です。MSBPの定義について...
参考にしている、「子ども虐待の臨床」の中にはMSBPの定義がまとまっていました。MSBPと診断するためには、以下に羅列するような状態を確認する事が必要となります。

<以下、引用です。>
1.子どもに生じる病像は養育者による虚偽(注1)や捏造により、長期に、秘密裏に作り上げられたものである。
2.その結果、子どもは不必要な医療上の検査や治療を繰り返し受けさせられる状態となる。
3.子どもの状態に対して原因を養育者に尋ねても、「わからない」や「自分は関係していない」などと否定される。
4.養育者と子どもを分離することにより、障害の影響は残ったとしても子どもにみられていた急性の症状や兆候は減少もしくは消失する。

(注1)虚偽:ここでいう虚偽には以下のものを含むとされる。1.実際にはなかった症状を繰り返し訴える場合。2.症状を作り出すための細工をするが、子どもには直接の被害がない場合。3.子どもへの直接の被害を伴う症状があり、かつ養育者によりつくられた症状である場合。

加害者である養育者の特徴としては、多重人格などの人格障害やMunchausen症候群の既往、虚言癖のような虚偽性障害などをもっていることが多い様です。また、発症率についてはかっちりとした報告は一つだけですが、「MSBP、不慮の中毒、不慮の窒息の発症率が1歳未満の児の中で10万あたり2.8人発症する」というものがある様です。かなり稀な疾患で、なおかつ診断に至りにくいものです。

<以下、引用です。>
「また、加害者の病理性の深さによっては、医療者の注意を十分引きつけることができないと、子どもの症状がどんどん重篤となり、致死的な手段もいとわなくなるので、長い病歴や養育者の訴えと子どもの状態が一致しないときは、医療者は常に本症の存在を念頭に置くほどの注意が必要である。」
MSBPは子どもが死亡してはじめて診断できることもあり、結果は重篤です。一般の小児科臨床医は(私も含めて)養育者からの訴えを「虚偽ではないか?」とみることに慣れていません。MSBPの報告例をみると、適切な介入(母子分離をも含む)に至るまでにかなり長期間を要しており、診断の難しさを感じさせます。

今日はここまでとします。次回は診断の実際についてで、明日以降にしたいと思います。

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コメント

テレビドラマ ERの第何シーズンかは忘れましたが,この症状で母親が出てきました。トリックみたいなことをして母親が犯人であることをあばいたのでした。
詳細は述べることは出来ないのですが,児童相談所に来た事例で疑うようなこともありますね。確かに。

投稿: なかまた | 2006年6月12日 (月) 21時28分

こんばんは
なかまた先生

コメントありがとうございます。
<トリックみたいなことをして母親が犯人であることをあばいたのでした。

診断は臨床的にも、法律的にも「極めて難しい」ということで、トリックを使う、あるいは「おとり捜査」まがいなことを使わなければ、なかなかうまく行かないのでは?などと考えてしまいます。

法律的な限界もあるようですね...

投稿: befu | 2006年6月12日 (月) 22時15分

7月17日に再度コメントしています。実はこの最初のコメント6月の時点ではBlogではあれ,記事で書くことは許されないと思ったので記載しませんでしたが,「代理ミュンヒハウゼン症候群」と畠山すずかの心理状態が似ているのではないか。
一つの虐待の形として注意していないといけないだろう・・・とコメントしようと想いながら,拙速にこのようなコメント出来ないので書きませんでした。

きっとbefuさんもそんなことを意識していたのかな・・・とタイムリーな記事だと思っていました。

投稿: なかまた | 2006年7月17日 (月) 07時16分

こんにちは
なかまた 先生

<「代理ミュンヒハウゼン症候群」と畠山すずかの心理状態が似ているのではないか。

これは、この記事を書き始めたときに感じていました。実は、ある弁護士さんのブログに、ある小説の中にでてくるMSBPの人物とこの事件の類似性を指摘したものがありました。

それまで、奇妙な事件だな...としか感じていませんでしたが、ひょっとするとそうなのかもしれないと感じて、少し取り上げてみました。

投稿: befu | 2006年7月17日 (月) 08時28分

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