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2006年5月24日 (水)

小児救急外来とニーズ

2006年5月24日 晴れ
今日はこのほど届いた、日本小児科学会誌の中から『小児救急外来受診における患者家族のニーズ』という原著です。

<要 旨>

目的:小児救急外来受診における患者家族のニーズを明らかにする。

方法:2004年1月19日〜25日の1週間に全国6地区、48医療機関でアンケート調査を施行した。問診票と併用する形で診察前に記入を依頼した。4,949名が回答した。

結果:年齢は3歳未満41%、7歳未満73%、曜日別患者数は平日7〜9%、土曜日23%、日曜日35%。受診時間帯別患者数は深夜帯(0〜7時)12%、日勤帯(8時〜16時)51%、準夜帯(17時〜23時)37%。来院にかかる時間は30分以内がほとんど(87%)。交通手段は自家用車が多い(84%)。受診理由は急病に対する親の不安・早期治療希望89%、非改善・小児科医の診察希望37%、親の仕事27%であった。症状は頻度別に発熱、嘔吐、インフルエンザが心配(11%)、咳嗽・喘鳴、腹痛等であった。救急医療施設の情報入手法はかかりつけ医28%、知人・親戚23%、自治体情報誌21%であった。今後の情報入手手段としてインターネットや携帯電話を利用したい66%、電話相談に期待する77%であった。受診不要と判定された者は28%であった。

結論:小児救急外来受診は乳幼児が多く、週末の需要が高い。主たる受診理由は親の不安・早期治療希望で、他には小児科医の診察希望と親の仕事がある。半数がかかりつけ医や知人から小児救急医療機関についての情報を得ている。今後の新しい情報手段としてインターネットや電話相談が期待されている。

[日本小児科学会雑誌 110巻5号 696〜702 (2006年)]

小児救急外来を受診する理由は、「親の不安・早期治療希望」がもっとも多く約9割を占めている様です。この他、受診した子供の兄弟順では1人目が最も多いという結果も本文中に示されており、少子化により親御さんが子供の病気に慣れない状況が生じ、また祖父母の貴重な援助も核家族化により余り受けられなくなったことなどが複合的に影響して受診数が増えているということの様です。これは、既に構造的な問題となっており、なかなか改善させる事は難しいと感じます。

こういった親御さんの不安に対処するための体制を作るとなれば、恐らく今の数倍、小児科医は必要であろうと思います。近くの、ある市立病院では小児科医は7人以上で、24時間体制で診ています。今後は、地域の小児科も集約化を進め、このようなセンター施設で診ていく他は、方法がないのでは?とも考えています。

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コメント

先生がモデルに上げられていた病院は中津ですね。あそこはなかなか素晴らしいシステムだと、熊本出身の友人の小児科医が褒めていました。

しかし問題は中津のようなシステムの病院を、全国に整備するほどの小児科医が払底しつつある事だと思います。また中津のようなシステムで無いので、小児科を志望する医者が減り、中堅の主戦力の小児科医が燃え尽きていくのだとも考えます。

せめて出来うるところからでも始めて行けば流れが変わるとは思うのですが、現実は構想の提案だけで延々と足踏みばかりをし、是非ともそうすべきだとのエントロピーには程遠いと感じています。

手を拱いている間に事態が悪化するのにいつになったら気がついてくれるのか、やはり焼野原まで進むのでしょうか。

投稿: Yosyan | 2006年5月25日 (木) 11時01分

こんばんは
Yosyan先生

コメントありがとうございます。
<先生がモデルに上げられていた病院は中津ですね。あそこはなかなか素晴らしいシステムだと、熊本出身の友人の小児科医が褒めていました。

仰る通りです。その病院も昔は小児科医3人でした。部長は昔気質の女医さんですが、ずっとその地域の小児科を支えておられ、尊敬に値する先生です。
24時間を7人でまわし始めた時にはいろいろと大変だった様です。今は、病院全体の効率化が進み、病院全体で黒を出していると思いますがそれまでの道のりは苦しかっただろうと考えています。
次の記事で引用しますが、「他科に比し小児科の診療単価があまりにも低いため、小児科は診療収入を増やす努力をしても、病院全体への収入の面での貢献は僅かでしかない。」といわれる文献もあり、そういう診療報酬上の問題がおおもとの問題ではないか?と考えています。

投稿: befu | 2006年5月26日 (金) 01時23分

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