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2006年5月 2日 (火)

医療と司法という記事

2006年5月2日 晴れのち曇り
日中と夜の間の気温差が激しく、喘息の患者さんには少しきつい気候の様です。

いつも参考にさせていただいている、ある産婦人科医のひとりごとに、こんな記事をみました。

「医療と司法」
外科医で弁護士の古川俊治先生がコメントしておられます。

「手術などの治療には、最善を尽くしても不可避な危険性があります。福島県の産婦人科医の場合も、癒着胎盤など非常に難しい状態で、ほかの医師が担当したとしても、妊婦の死亡は防げなかった可能性が低くはありません。そんな治療で逮捕されるのなら、リスクの高い治療をしなければならない専門の医師は萎縮し、自己防衛として、危ない治療は断るようになるでしょう。」
拙ブログの中でも申し上げていますが、医療には限界があります。医師は所詮、人間であり神ではありません。「人間の生命を自由に操れる」そのような存在ではないのです。ただ、神に近づく様、日夜努力をしています。今回の大野事件では、予見の可能性が著しく低く、そして一旦始まった出血をコントロールすることは不可能に近い、まさに医療の限界の症例であったと思われますが、それを「過失あり」として逮捕、拘留、起訴することは、日本の医療に対して少なからずNegativeな影響を与えるものでしょう。→医療の限界

「また、今回のケースが本当に「異状死」に該当するのかどうかも疑問の余地があります。本来、警察に「異状死」の届け出が必要なのは、人の死亡を伴う重い犯罪の関連が疑われる場合です。医療事故に関しては、一般的には過失を自覚していなければなりません。福島県の産婦人科医の場合も不可避の合併症だという判断で、届け出なかったのだと思います。」
これも、拙ブログの中でとりあげました。異状死については、医師法第21条に届け出義務の規定が記されていますが、この「異状死」についての定義は曖昧で、各学会からガイドラインが出されており、統一された見解がないのが実情です。その、異状死の届け出義務を指摘して逮捕するなどは、まさしく専制的な処罰方法であるといわざるを得ません。→異状死体とは

この記事は、まさに私たちが訴えて来た、最近の法曹界と医療界のあいだの関係を簡潔にわかりやすく示したものといえます。今後、医療事故を専門に検討する第3者機関や無過失補償制度、刑事免責制度等が導入されなければ、日本の医療は「焼け野原」のように無惨な姿をさらすようになるのかもしれません。

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