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2006年5月13日 (土)

隠岐の産科について

2006年5月13日
今日はちょっと疲れ気味です。NEJMの医療訴訟に関した記事をupしようと思っていましたが...こちらの記事が気になったので....

隠岐島内での出産再開不透明に中国新聞5月11日

「島根県隠岐の島町の隠岐病院が、常勤の産婦人科医師を確保できず院内出産への対応を断念した問題で、後任候補だった安来市立病院の男性医師(62)が、現地での出産や診療のバックアップ体制の不安を理由に赴任を保留していることが、十日分かった。島内での出産再開への見通しは不透明となった。」

隠岐では、隠岐病院の産科が撤退し島内に産科医が不在となりました。これは、昨今の産科医の激減及び訴訟リスクの高さのゆえ、常勤医が1人から2人程度の小さな産科への派遣が見合わされてきている事などが影響したものと思います。産科婦人科学会でも産科の集約化について公式に提言がなされている現状であり、これは致し方のないことと考えます。

さて、不在になった隠岐病院に62歳の産科医の先生が赴任する事が決まったという報道が、その後、流されました。話を聞く限りでは、62歳という(産科医の激務を考えると)高齢であり、大丈夫かな?という、その先生に対して少し失礼にもとれる感情をおぼえたのですが...やはり、このような結末を迎えそうです。

日本の産科医療は、小児科医療の現場よりも多分深刻な状況と思います。地域にある産科施設のいくつかを閉じて、その中の一つ或は二つぐらいに産科医を集約して、お産のリスクの軽減、産婦人科医の環境を整備するのが「集約化」ということですが、今の産科医療の危機を何とかして越えるためには必要悪であるとも考えます。

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コメント

隠岐の件は事態がその後事態が急展開して、島根県立中央病院から二人派遣の線で固まりつつあるようです。では62歳の産婦人科の先生はどうなったかですが、辞表まで書いてましたけど、すっぽり宙に浮いているようです。

この話でまとまれば、とりあえず一件落着ですが、経緯を見ると超姑息的対応でしたから、根本は実はなんにも解消していないと言う事です。でも誰もその事を真剣には考えてくれていないようですね。

投稿: Yosyan | 2006年5月14日 (日) 12時54分

県側と大学側で対立があったようですね。
今日の中国新聞に解説記事が出てました。

投稿: S | 2006年5月14日 (日) 13時19分

こんばんは
Yosyan先生

いつもコメントをいただきありがとうございます。
こういった、地域の医師不足の問題が生じた時に、自治体が医師を仲介して派遣する事が多くありますが....結構いろんな問題をはらむことが多いです。

その理由の一つには、やはり医療界と一般の方との間にある認識の深い溝があるとも思います。今回の件は、町と大学との間で62歳の産科医師を一人で派遣するという方向で話が進んでいましたが...記事にもコメントさせていただきましたが産科医師の業務を考えると、「これは到底無理であろう」との認識は多分、行政側にはなかったのだと思っています。

そして、2名でも島の病院の産婦人科....キツいでしょうね...学会の「3名以上」の基準を満たしていませんし....

投稿: befu | 2006年5月14日 (日) 22時54分

こんばんは
Sさま

コメントありがとうございます。
島根に関しては、昔、瀬◯◯先生の時代から、大学と県(というより県立中央病院)との間は険悪の様です。

地域医療に関しては、「島根方式」とも呼ばれる、県立中央病院の医師すべてを僻地医療に貢献する義務があるとして、末端の地域病院、診療所までグループ化した上、一定の期間で医師をまわし派遣するといった方法で、離島を抱える県の地域医療を支えてきました。(超強引なやり方ですが...)

という訳で、島根の勢力分布は明らかに県中>>大学でその大学に町は泣きついていったという構図なのではないか?とみています。県としては「地域医療は誰が支えてきたんだ?」という感覚だったのでしょうね...

投稿: befu | 2006年5月14日 (日) 23時11分

安来の62歳の産婦人科の先生は、現在、島根県内の別の僻地にある公立病院で、産婦人科医として勤務されています。

また、4月に赴任する予定であった県外の産婦人科医は、業務上過失致死で、今月から半年間の医業停止処分となりました。

投稿: 安来の先生のその後 | 2006年8月 3日 (木) 23時55分

情報ありがとうございました。

<4月に赴任する予定であった県外の産婦人科医は、業務上過失致死で、今月から半年間の医業停止処分となりました。

まさに、産婦人科医を取り巻く現状を認識させます。

投稿: befu | 2006年8月 5日 (土) 00時01分

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中国新聞地域ニュース 隠岐島内での出産再開不透明に 同じ現象でも言い方がいろいろある、と勉強になる。 「県や隠岐の島町は、医師と関連がある島根大医学部に大学人事として派遣するよう要請」 をいをい、医局を破壊しておいて、「大学人事」かい? 大学人事ってのは、... [続きを読む]

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