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2006年5月 8日 (月)

白血病治療と感染予防2

2006年5月8日 曇り
昨日の続きです。

昨日のまとめは「がんや白血病そのものや治療によって免疫力は低下する。そして、いろいろな病原体に侵されやすくなる。血液中の好中球数が感染のリスクを予測するのに重要である。」とのことでした。

今日は、好中球がどの程度減ると危険なのか?また、好中球が減少した患者さんの感染予防法についてです。
繰り返しになりますが、私は小児血液の専門医ではありませんので、文献などで一般的に周知されている内容であり、臨床で一番重要であると思われる経験に基づいたお話ではないことを、おことわりしておきます。

好中球は一般的に500/μlを下回ると重篤な感染の危険があるとされている様です。

Nelson Textbook of Pediatrics 16th ed. p.785

When the granulocyte (neutrophil) count is 500/mm3 or less, the patient is at heightened risk for a serious infection, usually of bacterial etiology.
訳:顆粒球(好中球)数が500/mm3(=μl)以下の場合、その患者は通常、細菌による重篤な感染の危険が高まる。

好中球が減少した患者さんの感染予防について...
今度はKrugman's Infectious Diseases of Childrenという小児の感染症の成書です。

Chapter 17, p.308

Preventive strategies for the neutropenic child
Ever since the relationship between therapy-induced neutropenia and severe infection was recognized, deliberate strategies have been investigated to prevent infection by isolation measures, immunization strategies, and antibiotic prophyraxis. The rationale has been to suppress colonization flora, which is responsible for the majority of serious infections. In the transplant setting, partial protection from infection has been achieved through cumbersome and expensive intervention, including complete isolation with laminar air flow, dietary restrictions, sterilization of all entering items, and use of oral nonabsorbable antibiotics. Otherwise, there are insufficient data to support the use of reverse isolation precautions or dietary manipulation on the pediatric oncology ward.
訳:治療により惹起された好中球減少と重篤な感染との関連が理解されるにつれ、隔離や免疫を付ける方法、抗生剤による予防などの感染を避ける方法が調査され議論された。原則は重篤な感染の多くの原因である、細菌叢のコロニーを抑える事である。移植医療では、層状の空気流による完全隔離、食事の制限、全ての器具の消毒や経口の非吸収性抗生剤の使用等の、厄介で高価で、不完全な防御法が行われてきた。別の見方からいくと、小児悪性腫瘍学では逆隔離による予防法や食事を制御する方法は十分なデータにより支持されていないといえる。

好中球減少のある患者さんの感染予防については、できるだけ無菌に近い状態で隔離しておくべきと思っていましたが、現在はそうでない流れもある様です。(ちょっと驚きですが...)

今日のまとめは...「好中球が500/μlを切ると重篤な細菌感染が起こりやすくなる。無菌室等の逆隔離は感染予防において十分なデータに裏付けられていない」ということになると思います。

次回は明日以降とします。

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