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2006年4月20日 (木)

異状死体とは

2006年4月20日 晴れ すごい風!

4月19日の日医白クマ通信で、唐沢新会長と木下常任理事の記者会見が掲載されていました。

「唐澤会長は、まず、医師が逮捕・起訴されてしまったことについて、「類似した事例と比較しても、大きな疑問を感じざるを得ない」と捜査当局の対応を疑問視。そのうえで、今回のように医師法第21条が拡大解釈され、捜査機関がいきなり捜査権を行使するような事態が全国各地で起きれば、医療現場に混乱が生じ、国民にも悪影響を及ぼしかねないとその問題点を指摘した。」

「今後の日医の具体的な対応については、木下常任理事が、(1)早いうちに会内に委員会を立ち上げ、医師法第21条の問題についての議論を開始すること、(2)委員会のメンバーには医療関係者だけではなく、司法の関係者にも加わってもらうこと—などを説明した。」

日医の行動が、少し加速されてきた感があります。

さて、医師法第21条は以下の条文となっています。
医師法第21条[異状死体等の届出義務]医師は、死体又は妊娠四月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届け出なければならない。

この異状死体の定義については、現在、定まっておりませんが、二つの相反するガイドラインが示されている状況です。1.日本法医学会(山口大から)2.日本外科学会声明と十分な説明と同意が得られた上での診療行為により起こった死亡について見解は大きく分かれています。

異状死体の定義は法律上は現時点では決まっておらず、診療行為に基づいて起こった死亡については、これを異状死とするかどうか?議論の途上にあるものと思います。福島県立大野病院の事件で福島県警は、産婦人科医逮捕起訴の理由として「医師法21条違反」をあげています。そもそも、異状死体の定義が定まっていないのに、グレーゾーンの「診療行為により起こった死亡」が異状死であるとして、その届出義務を怠ったということで福島県警は地域で一生懸命頑張った、24時間365日頑張った産婦人科一人医長をマスコミの前で、しかも診療中に逮捕したのです。

ある国会議員の先生はこの事件を、「いずれ、福島県警と検察が起こした事件と見なされるようになる」とまで、いわれています。これからの裁判で、何がこの福島県警の「暴走」を許したのか?明らかになることを願っております。

話は変わりますが、当直中に交通事故でCPA(心肺停止)の患者さんが搬入されて来た事があります。まずは、蘇生処置を行い、1時間は人工呼吸と心臓マッサージを行いましたが、残念ながら亡くなられました。これは、「外因死」にあたり、当院への受診歴もなかった方でしたので、明らかに「異状死」と思われました。警察の方と一緒に検屍を行い、死体検案書を書いたのですが、あとで電話がかかってきて「死体検案書でなく死亡診断書を書いてほしい」との申し出がありました。私が「これは異状死なので死亡診断書を書いたらば、私の腕が後ろに回る事もありますので、できません」と答えると、「そうですか、よく調べてから回答します」との御返事でした。しかし、再び電話がかかってきて「死亡診断書ではないのですか?」とのこと、じっくりと説明して御理解いただきました。警察の方は、私のような医療者より法律にくわしいのでは...と思っていたのですが、中にはこういった方もいらっしゃる様です。

追記です。日産婦日産医群馬県支部の声明にも医師法21条についての見解が示されています。

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