« 熱性けいれんと急性脳症など | トップページ | 大きな認識の差 »

2006年4月14日 (金)

小児科医の遺言状

2006年4月14日 くもり
少し肌寒い一日でした。

今日のお話を始める前に、不遇と苦痛の中で病院の屋上から身を投げた小児科医 中原利郎先生の御冥福をお祈り申し上げます。

もう既に、この小児科医の遺言状を御覧になっておられると思います。(このHPは2006年2月に公開されている様です。)

私は、あるメーリングリストでこの情報が流れ、このHPを知った次第ですが、この内容をみて「とても、他人事とは思えない」という感を持ちました。小児科の不採算性とそれに続いて起こる人材確保の困難、めぐりめぐって労働環境の悪化がもたらされ、本当に過酷な勤務が続きます。また、医療政策は引き続き医療費抑制に傾いており、採算性の悪い小児科には病院からの過重な要求が突きつけられます。

私は、この中原先生を存じ上げませんが、文章の内容からすると『本当にまじめに小児医療に向き合っていた』先生であろうと推測されます。このようなまじめな医療者が、社会から評価されず自死を選ぶことになるというのは、「日本の小児医療政策はどこかおかしい」そう思えてなりません。

最後に、天国に行かれた中原先生、どうかゆっくりとお休みください。

|

« 熱性けいれんと急性脳症など | トップページ | 大きな認識の差 »

コメント

先生、こんにちは。
私もこの遺言状をはじめて読んだときには、涙が出てしまいました。
お嬢様が今度研修医になられ、小児科医を目指されているそうですが、その頃にはもうちょっと状況が改善していることを祈るばかりです。

投稿: mariko | 2006年4月15日 (土) 10時49分

こんにちは
mariko先生

コメントありがとうございます。
私は、たまたま田舎の公立病院で小児科医をしていますので、それほど切迫した状況にありませんが....
都会の一般病院で小児科をされていた中原先生は「辛かっただろうな」と思うばかりです。

中原先生の貴重な御遺志を生かし、日本の小児医療、また、産科、新生児科を含めた周産期医療が現在よりも魅力のある分野となっていくのを願っております。

投稿: befu | 2006年4月15日 (土) 13時13分

小児科を取り巻く現状は中原先生の時代からどれほど変わったかが疑問です。良くなったと言える医者が果たしているかどうかです。

産科の方がより著明で、小児科も負けず劣らずなんですが、現状は厳しく、さらに厳しいという事実が知れ渡ったおかげで、小児科医の数自体が致命的に減ってきています。

強いて例えれば小児科は危機的、産科は致命的とでも表現すればよいでしょうか。減ればより現場は過酷になるの悪循環で、産科は地方ではドミノ現象の様相を呈しています。小児科だってアップアップのところはゴマンとあります。

前に私のブログで医者サイドから見た24時間365日小児科二次救急受け入れ病院を計算してみました。日勤3人、夜勤休日2人の交代勤務で10人のスタッフが必要です。

これを全国360の二次救急圏に配置すると3600人の小児科医が必要です。また先生のところのような一次救急的病院に診療圏ごとに5人ほど配置すれば1800人必要です。

日本の小児科勤務医の総数は約5600人とされていますから、残りは1100人。これを全国約100の医学部附属病院を三次救急として配置したら10人づつほどになります。三次救急なんて教授、助教授まで夜勤や当直に駆り出さないと構築できません。10人じゃ二次救急病院と同じ規模ですからね。

小児科が再生するには、まず10人の小児科医が交代勤務で働いても十分な利益が確保できる報酬体系が必須です。儲かれば小児救急をしたいと言う需要は増え、需要が増えれば待遇が良くなり小児科志望者の増加が期待できます。

夢物語ですね。中原先生の娘さんが厳しい現実に打ちひしがれないようにだけ祈るばかりです。

投稿: Yosyan | 2006年4月15日 (土) 14時25分

こんばんは
Yosyan先生

数字をあげてのわかりやすい説明。ありがとうございます。

<夢物語ですね。中原先生の娘さんが厳しい現実に打ちひしがれないようにだけ祈るばかりです。

ホントに...そうですね...

投稿: befu | 2006年4月16日 (日) 01時12分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/101068/9593316

この記事へのトラックバック一覧です: 小児科医の遺言状:

« 熱性けいれんと急性脳症など | トップページ | 大きな認識の差 »