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2006年4月12日 (水)

尿路感染症

2006年4月12日 曇り

昼休みを利用して、今日はVCG(Voiding Cystgraphy: 排尿時膀胱造影)という検査を行っていました。ちょっと、年長の児だったので、なかなか排尿時を撮れず苦労しました。この検査は、膀胱にネラトンカテーテルという管を入れて、造影剤というレントゲンでみると白く映る液体の薬を入れていきます。膀胱が張ってくるとおしっこしたくなりますので、管を抜いた後にレントゲンで見ながら、排尿(おしっこすること)していただきます。
これで、何がわかるかというと、排尿する時に膀胱から上へ造影剤が逆流しないかです。

ここで、尿路感染症という病気を紹介しますが、これは読んで字のごとくおしっこが流れてくる経路にバイ菌が感染している状態です。尿(おしっこ)は腰あたりにある左右2つの腎臓で生成されます。腎臓は体からできる老廃物(生命を維持する上ででてきたいわばゴミのようなもの)を尿の中に濃縮して捨てています。そして、腎臓でできた尿は、尿管という管を通って膀胱に注がれます。一定量膀胱内に尿が貯まると排尿することとなります。通常、バイ菌が膀胱内にいても、膀胱炎の症状(残尿感や、下腹の痛みなど)を認めますが、発熱する事はありません。ただ、バイ菌が腎臓まで達すると、高熱を生じ、腹痛から背部痛がみられます。また、普通は膀胱から尿管へ尿が逆流することはないものとされています。

赤ちゃんのころから、何度も発熱する児の中には、この発熱を伴う(つまり腎臓までバイ菌が入っている)尿路感染症を繰り返している患者さんが含まれます。それらの児をよく調べると、排尿する時に尿が膀胱から尿管へ逆流していることがあります。膀胱はオチンチンに近いのでバイ菌が入りやすい、そしてそのバイ菌がいる尿が腎臓に逆流すると発熱するわけです。

この尿路感染症にはいくつかの気をつけなければならない事項が含まれています。
1.尿路感染症の時に、腎臓から血液中にバイ菌が入り、敗血症という重症の感染症になることがある。
2.尿路感染症を繰り返すと、その腎臓が硬くなって尿を生成する機能を失う事がある。
3.逆流があり、その程度がひどい場合には手術で逆流を止めることが必要となる。
などです。

私も、数年間この病院にいて複数の尿路感染症の児をみてきました。その中には、2例ほど敗血症を起こしていた患者さんがいました。全身状態を管理する必要があるため、一人の小児科医しかいないこの病院では診れず、救急車で複数の小児科医のいる施設に搬送しました。また、中には尿路感染症の診断が付きにくい患者さんもいて、何度も何度も尿路感染症を繰り返すうちに、腎臓が硬くなって機能しなくなることもあります。ただ、それが片方の腎臓であれば、残ったもう片方の腎臓で体を支える事が出来ます。しかし、両方がそうなった場合は、将来的に透析などの治療を受けなければならなくなる可能性がでてきます。

最初にVCGについて書きましたが、その検査で排尿する時にどの程度の逆流かを評価することができます。それで、通常は1から5段階に程度を階級分けしますが、程度がひどいもの(3以上)については、膀胱と尿管のつなぎ目の部分を手術して、逆流を止める事があります。程度の軽いものについては、予防投与といって抗生剤(バイ菌を殺す薬)をほんの少しづつ毎日飲んでもらって、逆流が自然になくならないか?を追いかけます。膀胱が成熟すると、自然に逆流がとまる児も多いからです。

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