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2006年4月13日 (木)

熱性けいれんと急性脳症など

2006年4月13日 雨のち晴れ
桜は散って、葉が生い茂るようになってきました。道には、散った桜の花びらが、まだわずかに残っています。

今日は昼休みに、けいれんの児が救急車にて来院しました。来院時にはけいれんは停止しており、意識もほぼ清明の状態でしたが、約20分ほど断続的に続いていた様です。体温は40℃を超えており、今日の朝は無熱であったこと、年齢が3歳であることなどから、熱性けいれんでけいれん重積状態(けいれんが続いて止まらなくなった状態)になったと考えて、頭部CTなどを行った後入院となりました。

熱性けいれんは小児にみられる病気で、脳の未熟性により発熱(それも、急激に体温が上昇する状態)しただけでけいれんしてしまう状態です。通常、けいれんは5分以内に停止し、病院に到着時にはケロッとしていることが多いです。けいれんはその他の様々な病気や状態により起こりますが、小児のけいれんの中で熱性けいれんはかなりの割合を占めます。そして、熱性けいれんと診断がつけば、小児科医としては「ひとまず安心」といった感覚を持ちます。

ただ、熱性けいれんと思われる中にも、いろいろな病気が混じってきます。その中で、注意が必要なのは『急性脳症』です。急性脳症は、特にインフルエンザ感染との関連が有名ですが、けいれん、意識障害(眠り込む状態など...)、発熱等が主な症状です。熱性けいれんと区別がつきにくく、当初、熱性けいれんと診断しても、のちに意識が戻らなかったり、自発呼吸が停止したりして気付かれる事があります。また、急性脳症はかなり予後の悪い病気で、現在の技術をもってしても大半の生命を助ける事ができない。そんな病気です。

話は、少し脱線しますが、急性脳症を起こす数時間前には特に症状もないことが多く、保護者のかたは「さっきまで普通にしゃべっていたのに何故こんなことになるんだ」となかなか病気を信じられないこともあります。それで、後にトラブルに発展したという事例を何例か聞いた事があります。

話は、熱性けいれんへ戻りますが、けいれんが5分以内に終了し、吐いたものを吸い込んだりしなければ、特に大きな処置を要さずに回復します。しかしまれに、けいれんが止まらず前述のけいれん重積状態を呈することがあります。そんな場合は救急車にて来院されますが、来院時もけいれんが止まっていなければ、いろいろと処置を行い止める努力をします。どうしても止まらないならば、最後に全身麻酔のときに使うような薬(サイオペンタール:全身麻酔の導入等に使用する)を注意(特に注意するのは喘息がないかどうか?喘息のヒトに使うと発作が起こる可能性があります。)しながら使用します。大抵はそれで、けいれんは止まるのですが同時に呼吸も止まってしまう事が多いのです。呼吸が止まる可能性がありますので、その準備を行って使用します。必要な場合は、気管の中にチューブを入れる(気管内挿管)を行い呼吸の補助を行います。

私が、この病院に赴任して多分5から6例ぐらいは気管内挿管が必要だったと思われます。そして、呼吸管理(人工呼吸器を付けたりすること)が必要となることがあり、一人では管理できません(というより一人ではしたくない...)ので頼りになる、例の3次施設(後方病院)にお願いする事となります。

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コメント

大人も同じなんですが、喘息持ちの子供の発熱(特に熱性けいれんの既往あり)の場合は、先生は処方いかがされていますか?
ちびっ子には、アンヒバ、小児にはカロナール顆粒あたりでよいのでしょうか?
アドバイスよろしくお願いします。
ちなみに、私は成人には解熱鎮痛薬は処方しないことにしています。

投稿: あらいぐま | 2006年4月18日 (火) 08時35分

こんにちは
あらいぐま先生

コメントありがとうございます。ご質問の件ですが、喘息児に対して解熱鎮痛剤は使用していますか?ということだと思います...

結論からいいますと、処方しています。ただ、使用する薬は先生の言われるとおり、アセトアミノフェンです。(小児に使用する解熱鎮痛剤は小児科医会や小児科学会のrecommendationでアスピリン、ジクロフェナクナトリウム、メフェナム酸については使用べきではないとされています。)

気管支喘息の患者さんのなかに、アスピリン喘息といわれる、解熱鎮痛剤を投与することにより、発作が増悪する一群があるため、既往のはっきりしない(アスピリン喘息かどうかの既往)方には解熱鎮痛剤を使用しないほうがよいと思われますが、アスピリン喘息は経過の長い喘息患者さんに多いこともあり、幼児ではあまりみたことがありません。

また、解熱鎮痛剤でもアセトアミノフェンはアスピリン喘息に関連が少ない(100%ではありません)とされていると思います。以上のことより、小さいお子様には処方しています。

しかし、先生がいわれるとおり成人では(自分がずっと経過を追っている患者さんでアスピリン喘息がないといえる患者さん以外は)不用意に解熱剤を使用するべきではないと考えています。

投稿: befu | 2006年4月18日 (火) 09時44分

時間ができましたので、もう少し追記させていただきますが...

気管支喘息児に以前より使用されてきたテオフィリンについては、私のところでは『基本的に使用しない』という方針でやっています。

テオフィリン、アミノフィリンは有効治療域と中毒域が近い薬剤で、TDM:therapoitic drug monitering治療薬血中濃度測定の対象になっているのは先生もご存知のことと思います。

なおかつ、いろいろな要素(例えば発熱、併用薬など)で薬剤の代謝がかなり影響を受けるとされています。

そして、副作用として重要なのは、難治性のけいれんや難治性の不整脈などの生命に直結するようなものです。テオフィリンは非常に良い薬で、数年前までは喘息の児によく使用していたのですが、やはり、痙攣重積などが数例みられ、それからは余程のことがない限り使用しない。という方針でやってきています。

気管支喘息の小児には、こちらの薬も注意して使用するべきであると考えています。

投稿: befu | 2006年4月18日 (火) 10時46分

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