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2006年4月25日 (火)

名医の条件

2006年4月25日 晴れ

巷には、日本の『名医』を集めて本にした書物があります。これをみると、確かに「その道の『名医』」の方々が名を連ねています。でも、「名医ってなんだろう」と根本から考え直してみました。今日は、いなか小児科医からみた、「名医とは何ぞや?」という私論です。

これからは、あくまで私見であり、少し偏った見方が入っているかもしれません。それを、ご考慮にいれてお読みください。

医師は神ではありません。これは拙ブログの医療の限界という記事でも書きました。死にゆく運命の患者さんを死なないようにすることは、現在の医療ではできませんし、亡くなった患者さんを生き返らせるようなこともできません。できるとすれば、患者さんが治る過程を補助してあげること、そして、患者さんに満足を与える事などではないか?と思います。

そこで、「名医とは何ぞや?」との設問に戻りますが、医療は不完全であり患者さんの生命を100%補償できるものでないならば、「名医」は「患者さんあるいは患者さんに近い方々に満足を与える事が出来る医師」という事になるのでないか?と思います。

満足を与えられる条件は、まずは医療技術が確かなことですが、高度に専門化した現代医療においては、自分一人では全てに精通するのは不可能です。ただ、症状やさまざまな検査から、その患者さんの病態を的確に判断し、また、数時間、数日、数ヶ月のスパンで患者さんがどうなっていくのか?をある程度正確に予測できること。そして、適切な専門医に紹介する事も含めた「適正な治療の道筋」をつけてあげることができる能力が必要です。また、治療においては、患者さん個々人の特性に応じて幅広く選択する事ができるよう、多くの選択肢をもっているべきです。

また、「医療の腕がすぐれていること」以上に大切なのは、人間性であると考えています。医療はとりもなおさず、病気で苦しんでいる人間をみる仕事です。苦しんでいる患者さんに対して、「何かをしてあげたい」と真摯に思える事、なおかつ患者さん側にそれが伝わる事が必要です。これは、例え「患者さんが亡くなる」といった時にも、当てはまります。そして、それは一般的にいう「治療」とは、少し違ったものとなるかもしれません。

以上、いろいろと考えてきましたが、名医は「その患者さんに対して満足を与える事ができ、例え患者さんが亡くなったとしても遺された方々に満足感を与える事ができる医師」といった事になるでしょうか?

でも、急激な経過であれよあれよという間に亡くなってしまった患者さんの遺族には、なかなか満足を与える事ができないものです。そう考えると、名医は神しかなれないのかもしれません。

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